「創薬工学シンポジウム」の開催について
組織委員長 川島 嘉明(岐阜薬科大学)

 「創薬工学」の由来は、「化学工学」の技術・知識を、これからの医薬品生産にもっと積極的に導入すべきであるという我々の主張から端を発したいわば"造語"であります。
 ご存知のように、我が国の科学技術のレベルは高く、分析化学・物理化学・材料科学・エンジニアリング等に亘って世界的に高く評価されています。これらの高い技術は、今まで主に重化学工業を中心に盛んに応用され日本の発展に大きく貢献してきました。しかし、我が国の製薬産業においては、現在まではこれら化学工学の技術を積極的に取り入れるまでの必要もなかったし、むしろこれらの技術は、夫々の製薬企業の中で独自に蓄積されていたように思えます。
 我々は、このような背景のもとに21世紀の新しい創薬に向けた医薬品生産の技術開発に不可欠な分析物理化学・製剤粒子工学・プロセス工学の3分野に焦点をあてた本シンポジウムを2001年にスタートさせました。
第1回はこれらの3分野に分かれて、大学側のシーズと企業側のニーズの接点を話し合いました。そして昨年は、「均一性」をテーマに取り上げ、その重要性と確保の難しさについて同様の議論をしてまいりました。
 今回は、製薬企業におけるプロダクションテクノロジーとして、「マクロスケールとマイクロスケールとからのアプローチ」を、大学と企業の研究を通して話し合ってみたいと思っています。
 本年も、大学での最先端研究に内在する「シーズ」と、化学工学の一翼を担う製薬企業の研究開発が生み出す様々な「ニーズ」との接点を見出し、その出会いから、日本の新しい活力が生まれてくることを期待しています。

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