海外留学助成 循環器領域
留学紀行文
2000年受賞者
ボストン留学紀行 姫路獨協大学薬学部 ゲノム解析学講座 教授 柴田 克志
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留学先のボストンはご存知の通り風光明媚な所で、西はナイアガラ、南はニューヨーク、北はちょっと距離がありますがカナダに車で小旅行に行けます。市内にはボストン美術館などの文化施設や歴史的見所も沢山あり、週末は家族でまめに出かけていました。本当に楽しい3年間を過ごしました。研究室のボスはイスラエル人で、ポスドクにはイギリス人、アルゼンチン人、ドイツ人、中国人、ロシア人、インド人が一人ずつおり秘書はフランス人の女性でしたので大変国際色豊かでした。ラボパーティーなどでは皆が食べ物を持ち寄りますので様々な国の手料理も味わう事が出来ました。
帰国してから早いもので10年近く経ち、今回は紀行文という事で留学時代を振り返ると上記の事柄がまず思い出されました。もちろん、平日は真面目に研究をやっておりましたが、今思うとリサーチミーティングが非常に多かったなぁと感じられます。週に一度、ボスとの個別ミーティングとラボ全体のミーティングがあり、生の実験データをメンバーの前で発表します。さらに、同じフロアの研究室との合同ミーティングが毎週あり、隔週で循環器部門全体のミーティングも開催されます。ボスもポスドクも活発に討論し、データの甘さを指摘し合ったり、研究計画そのものの意義を議論します。これらの過程で問題点が明らかとなったり斬新なアイデアが生まれる事もあるわけで、発表者の研究を成熟させるのみならず、研究室間の情報交換にも重要な役割を担っている事は疑う余地がありません。日本ではやはり研究室が全体的にまだ閉鎖的な印象がありますし、ミーティングなどでも議論が活発化しない傾向があります。大学では教育講演も定期的に開催されており、身近に著名な研究者に接する機会にも恵まれておりました。アメリカの学生が足組みしながらノーベル賞受賞者とざっくばらんに議論している姿が印象的でした。これらはアメリカの生命科学研究を支える素晴らしい研究環境の一つとして特に印象に残りました。私も3年前より自分の研究室を持ちました。海外留学などこれまでの経験を生かして医学研究に少しでも貢献したいと思っております。