オーガナイザーから

第36回万有仙台シンポジウム
有機合成化学の多様な可能性


第36回 万有仙台シンポジウムOrganizer
東北大学多元物質科学研究所 教授  永次 史
 このたび第36回万有仙台シンポジウムをお世話させて頂くことになりました、東北大学多元物質科学研究所の永次 史です。今回で万有仙台シンポジウムのお世話をさせていただくのは3回目となります。
 万有仙台シンポジウムは1990年に第1回目が開催され、今回で第36回を迎えます。開始当時に生まれた方がすでに研究者の中堅として活躍されていることを考えると、このシンポジウムの長い歴史が感じられます。他の講演会では語られることの少ない、講演者の方の研究を貫く理念と哲学などをお聞きできることは本シンポジウムの特徴であり、また非常に貴重な機会であると思います。
 今回のシンポジウムでは「有機合成化学の多様な可能性」というテーマのもと、6名の先生方にご講演をお願いし、最新の成果、さらには、未来に向けたモノづくりの方法論及び機能創出についてメッセージを頂きたいと考えています。有機合成化学は、医薬品、農薬、機能性材料など様々な有用物質の合成を提供することで、物質科学の最も重要な役割を担っています。近年、人工知能技術(AI)の進歩、様々な合成手法の開発により、有機合成化学も新たな局面を迎えています。さらに、数年前のCOVID19によるパンデミック、地球温暖化を含む様々な環境問題など、今後さらにどのような問題が起こるか予想もつきません。このように混沌とした時代ではありますが、有機化学は全く新しい物質を創ることができる学問領域であり、様々な方法論でこれらの問題を解決できると期待されます。参加者の大半を占める学生さんや若い研究者の方には、本シンポジウムを通して、有機化学研究に対する考え方、さらに独創的な発想について学んでほしいと思います。本シンポジウムが有機合成化学のみらいを担っていく次世代の研究者の方にとって、研究をすすめていくヒントとなれば幸いです。
 最後になりましたが長年、ご支援を頂いております公益財団法人MSD生命科学財団に心から感謝申し上げます。