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札幌から始まった万有シンポジウムも、来年早くも約20年の節目を迎えようとしています。1回目から参加している者としては、札幌の最も気候の良い時期に現在活躍中の世界的に名の通った講師の講演を、まとめて聴けますことを毎年楽しみにしている次第です。本シンポジウムが長期にわたって継続してきた秘訣は、素晴らしい演者による有為な若者に刺激を与える場であり、道内の有機化学を専門とする研究者の交流の場として貴重な機会を提供していることがあげられるでしょう。優れた研究は、専門が違っても必ず聴衆に美しいと感じさせる何かを持っています。また講師の先生方の着目点やその研究展開法に触れることは、研究者としてのセンスを磨くまたとない機会でもあります。
有機合成化学の使命は時代とともに変遷し、天然物の構造確認から始まり、人類のためになる様々な機能を持つ物質の供給するなど重要性を増しながら拡大しつつあります。最近望む化合物を合成する技術は、触媒的不斉合成などにより効率面でも格段に向上しています。石けんから高分子ポリマー、液晶ディスプレイ、医薬品に至るまで化成品は、我々の生活を豊かにしてきましたが、有機合成の分野は新たなフロンティアを目指してさらに広がりつつあります。複雑な構造の化合物の合成や新たな合成手法の開発は言うに及ばず、生命の不思議に迫る研究、ナノスケールの化学の疑問に答える研究など限りない挑戦が続いています。今回のシンポジウムは「有機合成が拓く未踏のフロンティア」と題して、新分野開拓に意欲的に挑戦しておられる研究者方を講師としてお招きしました。
本シンポジウムには多くの方々に参加していただき、今後の研究の刺激としていただければ幸いに存じます。 |
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