選考委員長挨拶

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BCA/MBLA
選考委員長挨拶

京都大学 特任教授 丸岡 啓二
MBLA:日本のライジング・スターの世界への発信
京都大学 特任教授 丸岡 啓二
令和6年度より、初代選考委員長(山本尚教授)の後任として、BCA/MBLAの選考委員長を務めることになりました。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

研究者にとって若い時から独立が可能な米国や中国に較べると、講座制度を取っている日本の若手研究者で誰が活躍をしているのか、外国の先生には分かり難い。しかし、日本の若手研究者は米国や中国の若手研究者ほどビジブルではないものの、独創的な研究を展開している人が多くいるのは事実であろう。MSD生命科学財団のBCA/MBLAは、こうした日本のライジング・スター達にスポットライトを与えるものである。このMBLAレクチャーシップに選ばれると、米国や欧州の主要大学で講演する機会が与えられ、欧米でかなりビジブルな存在になることが可能です。このレクチャーシップを通して、生涯の友人もできることでしょう。これまでのMBLA受賞者はいずれも我が国を代表する素晴らしい若手研究者が選ばれて来たし、受賞後もその賞にふさわしい独創的な研究を展開されています。

このBCA/MBLAと並行して、MSD生命科学財団では2010年から大津会議を支援しており、ここから毎年、全国から厳選された16名の博士課程の学生が巣立っています。昨年そして今年と、2年続けてMBLAの受賞者が大津会議から輩出されている事実からも、大津会議の卒業生の活躍が分かると思います。今後も、この二つの事業の相乗効果により、多くの能力ある若手研究者が育ってくれることを願っています。

有機化学分野の若手研究者を対象とした国際賞には、Tetrahedron Young Investigator Award、OMCOS賞やThieme賞など幾つかの賞がありますが、いずれも40歳以下とかなり厳格な年齢制限があり、我が国の若手研究者には非常に不利な状況にあるといえます。こういった若手の国際賞の選考委員として関与し、欧米の若手研究者がこうした賞を受賞するのを見ると、日本の若手研究者の活躍はビジブルでなく、とても残念に思います。今後は、MBLAの受賞者達がこうした国際賞を取れるようになる事を願っています。欧米のビジブルなライジング・スターに肩を並べて世界で活躍して欲しいというのが、この賞の目的なのです。そして、将来、この人たちの中から、ノーベル賞受賞者が輩出されることを願っています。(2024年10月)

シカゴ大学 教授 山本 尚

初代選考委員長

シカゴ大学 教授 山本 尚

(所属は本賞設立2004年時点)

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