BCA/MBLA講演ツアー紀行文
“MBLA 2013”受賞者
MBLA2013講演ツアーを終えて 名古屋大学大学院工学研究科 准教授 浦口 大輔
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この度、10人目のMBLA受賞者として欧州・米国を横断し、飛行機の軌跡を辿れば世界を一周するという講演ツアーの機会を与えていただきました。昨年の鳶巣先生と同じ9か所に米国Princeton大学を加えた世界に冠たる10か所のInstitutesをめぐる旅は、自分にとって想像を超えた奇跡のような経験でした。ディスカッションタイムに出会う美しい化学にときめき、論文でしか会ったことのない著名な教授との議論に興奮し、対等に議論をこなす若い学生に感心しながら、強い刺激を受けつづける日々があっという間に過ぎていった気がします。また、毎日のように同じ化学について話をしても毎度違う反応が返ってくるという感覚が印象的で、異なる文化・嗜好を持つ集団に対して連続して講演をする本ツアーだからこその醍醐味を存分に味わいました。一方、自分自身の内面にとっては、これまでにかかわった人々への感謝を新たにし、将来の自分に思いを馳せるまたとない貴重な時間でもありました。同時に、学生たちと研究グループを立ち上げてからの約8年が導いてくれた望外の幸運を、この先の化学に活かしていく責任を感じながらの旅だったようにも思います。20日間の旅程を終えて今、このユニークな賞を創設した山本尚先生、鈴木國夫さまをはじめとした関係者の皆様の志を感じ、あらためて胸が熱くなる思いです。
ハーバードのオフィスに架かっていたR.B.Woodward先生の肖像画
最後になりますが、設立から今回の旅程の調整に至るまでをお世話いただきました山本尚先生をはじめ、審査委員の先生方、万有生命科学振興国際交流財団の方々、各大学のホストの先生方に厚くお礼申し上げます。また、研究をご指導いただいた大井貴史教授ならびに共同研究者である学生達なくしてこのような経験をすることはかなわなかったことはいうまでもなく、この場を借りて深く感謝申し上げます。