BCA/MBLA
講演ツアー紀行文
BCA/MBLA講演ツアー紀行文
“MBLA 2019”受賞者
MBLA講演ツアーを終えて 大阪大学大学院工学研究科応用化学専攻 教授
平野 康次 |
MBLA2019として、2022年10月8日〜28日のおよそ三週間に渡り、ドイツ、スイス、そしてアメリカ3カ国を巡る海外講演ツアーに行ってきました。Covid-19のパンデミックによって2年の延期を余儀なくされたこともあり、まさしく待ちに待ったツアーです。実施の連絡を受けた時の高揚感と胸の高鳴りは今でも忘れられません。およそ個人では訪問できないようなトップスクール・研究機関計10ヶ所での招待講演は、海外経験の乏しい筆者にとって夢のような体験でした。加えて、世界のトップ・レジェンド研究者や野心に燃える若手、そして次代のライジングスター候補である優秀なポスドクや学生さんたちとのディスカッションがこれでもか、というくらい詰め込まれた濃密なスケジュールを過ごすことができました。講演後にいただくコメントや質問、そして議論から生まれる問いはいずれも自身に新たな気づきを与えてくれる創造的なものばかりで、研究者人生において、これ以上の刺激的な時間は後にも先にもないでしょう。世界がどのような視点から過去、現在、そして未来の有機化学を見ているのかを肌で体感できたことは、今後の自身の研究の方向性や在り方を考える上で大きな財産です。このような類稀ない機会を提供してくれたMBLAは唯一無二の存在であり、困難な世界情勢の中ツアー実施に踏み切ってくれたMSD生命科学財団をはじめ選考委員長の山本尚先生、本ツアーの立案者である鈴木國夫博士ならびに各地のホストの先生方には感謝の念に堪えません。
一方で講演の中で自身の研究を振り返るにあたり、数多くの共同研究者に支えられてここまできたことを改めて認識しました。助教として研究を開始する段階から親身にご指導いただき、また自由に研究を展開することを許してくれた三浦雅博教授をはじめ、毎日一緒になってベンチに立ち続けてくれた全ての学生さんたちに、この場を借りてお礼申し上げます。