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BCA/MBLA
講演ツアー紀行文

“MBLA 2010”受賞者
若手研究者達との交流が大きな刺激に

東京大学大学院薬学系研究科 准教授 松永 茂樹

MBLAの講演ツアーは20代の駆け出しの助教だった頃から、いつかは自分も挑戦してみたいと憧れ、目標にしていました。この度、英語での面接とディスカッションのプロセスを経て、実際に講演に行く機会を与えていただきました。本講演ツアー全体のスケジュールを立ててくださった山本 尚先生、審査委員の先生方、万有生命科学振興国際交流財団の方々、各大学のホストの先生方、研究をご指導いただいた柴﨑正勝名誉教授(現:微化研)、金井 求教授と共同研究者の皆さんに感謝申し上げます。

2011年10月中旬から2週間半、UC Berkeley、Stanford大学、Scripps研究所、Merck研究所、Columbia大学、MIT、Harvard大学、Chicago大学で全8回の講演を行うツアー日程を組んでいただきました。全ての訪問先で、講演をするだけでなく、朝早くから有機合成化学、ケミカルバイオロジー、材料科学など多彩な分野における教授やポスドクたちと30〜60分間の議論を途切れなく一日中こなし、まさに科学漬けの日々を送りました。体力的にはなかなかハードなツアーでしたが、日常の雑務を忘れて幅広い分野の科学を純粋に楽しむことができただけでなく、自分の1時間程度の講演や質疑応答、議論と合わせて大きな自信を身につけることができました。

事前に予想していた通り、有機合成の巨人ともいうべき先生達との夕食や会話、議論は非常に楽しく、夢のような時間を過ごすことができました。ただ、それ以上に印象的であったのは、アメリカのトップクラスの若手研究者達との交流でした。多くの大学で、有望な若手研究者との時間を多くつくっていただき、アカデミックポストを目指して応募中のポスドク、着任間もない若手のassistant professor、そして自分と同世代でテニュア審査を間近に控えたassociate professor達が、自分たちの人生をかけて独自の研究テーマを立案し研究に没頭している姿は非常に刺激的でした。若手のスターが次々と登場してくるアメリカのシステムの実態、競争の激しさを垣間見ることができました。また、彼らとの交流を通じて世界での自分の現在のポジションを考え、自分の研究の方向性や将来的な広がりについてじっくりと考え直すよい機会となりましたし、今後の長い研究者人生において、彼らと常に切磋琢磨しながら頑張っていこうという気持ちも湧いてきました。

このように、MBLAは、日本の30代有機合成化学者自身を世界の舞台でvisibleにするだけでなく、講演ツアーでの交流を通じて様々な点で大きな成長のきっかけを与えてくれるものだと思います。

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