公益財団法人　万有生命科学振興国際交流財団

青少年の成長の糧に

NPO法人 環太平洋学生キャンプ　会長　秋山　孝雄

キャンプとは、一つの社会を作ることです。集団生活に必要なルールを作ったり、食事作りなど生活上必要な作業を共同で行ったり、ある目標を達成するためにチームワークを通して幾多の可能性に挑戦し、自らの力でより良い社会を構築していくことを目的としています。

近年、日本では物資的な豊かさとIT技術などの発展に伴う豊富な情報のなかで、間接情報の氾濫や擬似的な体験が多くなりました。その分、対人関係の構築や意思疎通が希薄になって、自己実現のための実体験を積む機会が少なくなっていると感じています。価値や判断の基準が不安定になった社会のなかに若者達も巻き込まれてしまっている現在、彼らが人間性や社会性を学び、夢や理想への創造性や活力を試す場の重要性は尚一層増していると思われます。

私たちが実施する組織的教育キャンプ「環太平洋学生キャンプ」では、14歳から18歳までの年齢や出身地・国籍の異なる中学・高校生が携帯電話も通じない山奥で、数名のグループに分かれ共同生活をすることによって、友情、協力、奉仕の精神を育み、新しい人間関係を構築してゆきます。わずか8日間の短い期間ですが、チームフラッグ作りや野外炊飯、オリエンテーリングなどグループ内で意見を交わしながら目標を達成するためのプログラムが組まれています。

また自然環境に対する理解を深めるための環境セミナーやカヌーなどと並んで参加者同士の文化を紹介する文化交流のプログラムも大切にしています。これらを通してお互いの理解を深め、国際的に育まれた友情が強固になり、ひいては国際社会の平和と繁栄に寄与してゆくことを願っております。

このキャンプの開催、運営に当たりましては、多くの皆様の、後援や協賛を頂いており更に多くの無償のボランティアスタッフに支えられております。特に、長年に亘り多大なご支援を頂いております万有生命科学振興国際交流財団関係者の皆様に心から厚く御礼申し上げます。