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万有仙台シンポジウム 組織委員
東北大学原子分子材料科学高等研究機構 機構長
山本 嘉則
2009年6月13日に20周年記念の万有仙台シンポジウムが仙台国際センターで開催されました。一口に20周年といいますが、私が化学教室の教授として仙台に来たのが1986年で、定年まで20年間あると思って着任したことを今でも思い出しますが、この教授在籍と同じ長さを万有仙台シンポジウムは続けて来たわけで、ずいぶん長きにわたって万有財団の御支援を得てここまで来たわけで感謝の気持ちで一杯です。明治の元勲後藤新平の言葉をよく引用させてもらいますが、確か、金を残すは下、名を残すは中、人を残すは上、などという意味合いの事だったと思います。万有シンポジウムはまさしく“人を残した”と云えるでしょう。20年前に修士あるいは博士課程の学生として、万有仙台シンポジウムに参加し、当時の世界最先端の有機化学の研究を講演で聞いた人々は、今では40代中頃から後半となり、産業界においてもアカデミアにおいてもその分野の中心的立場に立ち活躍しています。一例として、2009年度開催の万有仙台シンポジウムのアブストラクト集の後半の20 頁ほどは、何人かの“万有仙台シンポ卒業生”達の寄稿文集が掲載されていますが、これを見ても万有シンポが人を残して来たことは明らかです。
最近では、Banyu Chemist Award(BCA)とLectureship Award(MBLA)の顕彰制度が始まり、さらに万有シンポジウムを有意義なものにしています。欧米の様に常に人の流れ(若き院生・研究者およびシニアーの教授達を含めて)が頻繁にあり、いわゆるbrain streamというかflow of young bright brainsというか、そういう流れの環の中に入っていない極東の地にある日本においては、欧・米・日本(アジア)の流れのルートを作ることは必要不可欠です。MBLAは、このbrain streamを向上させることに貢献していることは確かです。研究実績は欧米の研究者に比べて、優るとも劣らないのに、色々の理由で名前が見えてこない日本の若き研究者達を米国に送り出し、visibilityを向上させるという、日本の他の制度では見当らないような、新しい仕組みを万有財団は立ち上げました。素晴らしいことです。これらの取り組みは、世界に羽ばたく人物を残すことになるでしょう。
以上、いずれの仕組みも鈴木國夫さんの考えがtriggerとなり、万有財団の皆様方の一方ならぬ御支援と御尽力によって達成されたものです。ここに深く御礼申し上げたく存じます。